This website requires JavaScript.
筑波大学アスレチックデパートメントが育てるビジョナリーリーダー

筑波大学アスレチックデパートメントが育てるビジョナリーリーダー

大学の部活動は”課外活動”である

このことが長らく日本大学スポーツ界の課題として指摘され続けてきました。大学において課外活動の位置付けが不明瞭であったため、大学が部を適正に管理することができず、不透明な会計や安全対策の不足などの問題を抱えています。また大学のガバナンスが及ばずに組織がブラックボックス化し、指導者によるパワハラ・体罰など大学スポーツの価値を揺るがす深刻な事件が度々発生しています。

こうした中で部活動を大学の正規のプログラムとして組み直すことで、部活動を健全化すること、また明確なビジョンに基づく人材育成の場として最大限活用することを目指し、筑波大学は日本初のアスレチックデパートメントを設立しました。筑波大学アスレチックデパートメントでは”学校において「最高のスポーツプログラム」を構築すること”をビジョンとして様々な改革に取り組んでいます。

中でも改革の柱の1つとして掲げられている人材育成プログラムの一環として、筑波大学アスレチックデパートメントはビジョナリーリーダー育成を目指したプロジェクトをスタートさせました。 そして今回、筑波大学アスレチックデパートメントに所属するチームの中心となる学生18名を対象に、「ビジョナリーリーダー研修」と題した研修を実施しました。

すでに代替わりを終えたチーム、これから新しい代としてスタートするチーム。チームを作り上げていく様々な段階にある各チームで、それぞれがリーダーシップに関する様々な課題を抱いていたようです。

  • リーダーシップをどのように発揮すればいいのか
  • 自分の考えや想いをどのように伝えればいいのか
  • ビジョンや目標に対する当事者意識の差をどのように埋めればいいのか?

目標達成に向けた課題に取り組んでいくなかで、組織のリーダーがどのようにリーダーシップを発揮すべきなのか。その答えとなるのが、今回の研修テーマである「ビジョナリーリーダーシップ」です。

hoge

ビジョナリーリーダーとは

”ビジョナリーリーダーシップ”とはどのようなものでしょうか。

一般的な「リーダーシップ」のイメージとしては、実行力・決断力・求心力などといった言葉が挙げられるのではないでしょうか。

しかし、ビジョナリーリーダーシップでは「ビジョンを示し、その実現に向けて組織を巻き込んでいくこと」こそがリーダーにとって最も重要な役割であると考えます。ビジョンとは「こうなりたい!」という明確な未来のイメージです。その未来図をチーム全員で共有することで、周囲のメンバーを巻き込み、動かしていくことができます。

ビジョナリーリーダーとは何かについて語る講師

ビジョンが持つ力を使って組織を前に進めることができるリーダーの育成。それこそが、筑波大学アスレチックデパートメントが目指しているものであり、今回ビジョナリーリーダーシップが研修のテーマとなった理由でもあります。

では、ビジョナリーリーダーはどのようにビジョンを示し、チームを巻き込んでいくのでしょうか。今回の研修ではそのプロセスを「①ビジョンを描く」「②ビジョンを語る」「③ビジョンに巻き込む」という3ステップに分けて、ワークを通して実践しながら学びました。その研修の様子の一部を紹介します。

ビジョンを描く

研修はまず、ビジョンを描くことからスタートしました。大学スポーツの特徴である引退という場面に焦点を当て、「自分が引退する際に大学スポーツをどのような経験だったと言えるようになりたいか?」という問いを通して、各々の大学スポーツにおけるビジョンを描き、メンバーとシェアしました。

ビジョンについてディスカッションする学生

初めは「何のために日本一という目標を達成したいのか」という問いに「勝ちたいから」以上の答えを見つけられない学生が多く見受けられました。しかし、チーム内で対話をする中で「このチーム、このメンバーで最高の経験ができたと思いたい」など、目標のその先にあるビジョンが徐々に掘り起こされていきました。 また、その内容は「去年の負けのような悔しい思いを繰り返したくない。勝って喜びを共有したい」や「将来自分が教員になったときに目標となるようなチームを作りたい」など参加者それぞれの想いが語られました。更には「学生コーチとして日本一に貢献することで、大学スポーツへの関わり方がプレイすることだけではないと示したい」といったものまで、参加者の多様なビジョンが示されました。 このワークで、まずは自分がどのようになりたいのかについて参加者自身の考えを整理しました。そこから更に1歩進んでビジョナリーリーダーとしてチームメンバーに対してビジョンを示すために、次は「メンバーが引退する際にどのように思って欲しいのか」、「そのためにどんなチーム像を目指すのか」についても考えてもらい、チームとして目指すビジョンとチーム像を描いてもらいました。 これらのワークを通して、参加者からは「自分が何のために大学でスポーツに取り組んでいるのかを再確認し、より明確にすることができた」「チームメイトがどのような想いで部活に取り組んでいたのか、それが個々人で違うということを知ることができた。他のメンバーについても聴いてみたい」などの感想が挙げられました。

ビジョンを語る

ビジョンに基づいたチームをつくる第一歩は、描いたビジョンを語り、メンバーに伝えることです。どのように発信すれば、描いたビジョンを効果的に伝えることができ、共感を得ることができるのか。「ビジョンを語る」セッションでは、効果的なプレゼンテーションの方法論を実践を通して学ぶために、チームのビジョンをメンバーに対してプレゼンテーションするワークが行われました。

自分自身のビジョンについてプレゼンテーションする学生

チームメンバーに対して何度も自分の思いを伝え、何度もフィードバックをもらい、自分の中にある核となる想いを明確にしていきます。普段のプレイではリーダーシップを発揮できるメンバーも、プレゼンテーションとなると少し苦手意識があるようで、なかなか自分の思いを伝えられない参加者もいましたが、最後には、各チームの監督・コーチを含めた全員の前でプレゼンテーションが行われ、各々から力強いビジョン語られました。 参加者からは「自分の想いを伝えるには、カッコつけた言葉よりも本心から思っている言葉を伝えることが大切だと実感できた」「これまでは単に目標を掲げるだけだったが、このワークを通してビジョンに近づくためという位置づけで目標を再確認できた。目標に対して自身がより納得することができた」などの声が挙がりました。さらには「自分は人前で話すことは苦手だったが、実践するうちに自信がついてきた。チーム内でもチャレンジできると思う。」というように大きく自信をつけた参加者もいました。

ビジョンに巻き込む

どれだけ効果的にビジョンを伝えても、それだけで組織が変わることはありません。なぜなら、組織には組織固有の文化があり、組織に属する一人ひとりの行動はその文化に影響を受けるからです。文化は尊重しつつも、ビジョンにまっすぐ向かうチームに変革していくために重要なキーワードが「対話」です。周囲をビジョンに巻き込み、ビジョンに基づいた組織文化を築き上げるには、変化を要求するだけではなく、対話という「互いに意味を作り上げる継続的な連携のプロセス」が必要不可欠なのです。 最後のセッションは、この「ビジョンに巻き込む」ことをテーマに取り組みました。組織にビジョンを浸透させていくために必要な論点として、「組織のパフォーマンスを上げるために対話すべき問い」をチーム内で考え、特に重要なものをリストアップしました。「大学でスポーツを通して何を得たいのか」「チームに貢献できる役割は何か」「自分の課題は何で、それにどう取り組んでいくのか」などといった問いが各チームから挙がりました。

これらの問いに基づいて今後のアクションプランをチームで立案し、全体にシェアしました。 「ビジョンや目標に対する当事者意識を高めて行くために、 個々のビジョンをシェアして互いの役割を考える”ビジョナリーミーティング”を実施したい。」など、ビジョンを浸透させるための具体的な計画が各チームから発表されました。1ヶ月後にその進捗を確認することを約束して、今回の研修は終了しました。

担当者インタビュー

今回の研修を企画された山田副アスレチックディレクターにご感想をいただきました。

Q:まず、 今回の研修を企画された背景や意図を教えていただけますか?

社会に出ていく上で、競技スポーツから学べることは非常に多いと思っています。しかし、その機会を十分に活かしきれていないのが現状です。特にビジョンについては非常に重要なリーダーシップの「技術」だと思いますが、日本ではあまり語られることはありません。我々筑波大学アスレチックデパートメントでも、設立してまずビジョンに関する研修を様々な外部講師を招いて実施しました。一つ一つの研修は腑に落ちるものも多かったのですが、全体として体系化されたものではありませんでした。アチーブメントHRソリューションズは、より体系化されたリーダーシップの技術を提供してくれると感じ、今回の研修の実現に至りました。

今回の研修を企画した筑波大学山田副アスレチックディレクター

Q:今回の研修を振り返ってみた感想をお聞かせください。

ビジョンを通して学生たちのやるべきことがクリアになりました。スポーツは質の高いハプニングの連続です。逆境、失敗、困難の連続です。そういったときにチームやリーダーが立ち返れるもの、それこそが「ビジョン」だと思っており、今回の研修を通じて大きな武器を手に入れたのではないでしょうか。また日本一を目指すチームの間で今回の時間をシェアできたことが今後互いのモチベーションにもつながっていくのではないかでしょうか。

Q:研修内容や設計についてはいかがでしたか?

全体としてわかりやすく、合理的な研修でした。アンケートでの学生からの評価も非常に高かったです。内容に関しては、ビジョナリーリーダーという難しいテーマに対し、非常に体系的に整理された研修でした。インプットだけでなくディスカッションやワークも交えながら体感できる形で設計されており、学生たちにとっても腑に落ちる内容だったと思いますし、研修を終えて、学生たちが大きく成長していることを感じられました。また、我々筑波大学アスレチックデパートメントの理念やビジョンを汲み取った上で大学スポーツ向けにカスタマイズしてくれたことにも非常に満足しています。

Q:最後に、筑波大学アスレチックデパートメントとしての今後の計画をお聞かせください。

我々がやりたいことは「スポーツを通した人材育成」です。しかし多くの大学スポーツにおいて教育的意義や価値がないがしろにされてしまっている現状があります。今後は大学スポーツの中心が競技連盟から大学と共存・共栄する形に移っていき、各大学の理念を反映させた人材育成の場として活用できるようになっていくと思っています。そのときにアチーブメントHRソリューションズとの今回の取り組みを各大学に展開していければと考えています。

まとめ

今回の研修は大学との共同プロジェクトという形で行われ、アチーブメントHRソリューションズとしても初の試みとなりました。 今回の研修では筑波大学の理念やアスレチックデパートメントのビジョン、大学スポーツという現場の特殊性を加味しながら研修設計を進めてきました。 参加した学生からも「リーダーシップについて、これまで自分なりに勉強しても具体的に落とし込むことができなかった。この研修を通してビジョンを中心にリーダーシップを発揮する方法が明確になった。」と、リーダーシップに対する疑問点を解消できたとの感想をいただきました。 学生たちがより実感をもってビジョナリーリーダーについて理解できる研修が実現できたのではないでしょうか。 この後、新しいシーズンも始まり、各チームの活動が本格化する中で苦難もあると思いますが、その中で立ち返るべき基礎づくりを今回はご支援させていただきました。今後もフォローアップ研修などを通じて、各チームが目指すビジョンと、筑波大学アスレチックデパートメントが目指すビジョンの実現をサポートしていきます。

そのマインドセットへのアプローチ、間違っていませんか? アチーブメントHRソリューションズでは、人の行動の根源である「マインドセット」に着目し、個人の「内発的な動機付け」に基づくアプローチによって、人財育成や組織開発を成功に導きます。

hoge

正しく研修に取り入れた企業様では「社員の離職率が30%減った」「売上が昨年対比160%を実現した」といった成果を生み出し、進化を続けています。 専門コンサルタントがプロの視点であなたの問題を解決する道筋を示しますので、真に価値のある教育施策を共に考えていきませんか?

📞03-6435-3791

📧お問い合わせ