部下との良好な関係づくりは、仕事を円滑に進める上で必要不可欠な要素と言えます。上司と部下、社員全員がそれぞれの役割を果たすことで、成果を挙げるのが組織での仕事です。とはいえ、自分が上司の立場になった際に「部下と上手くコミュニケーションがとれない」「部下が自分の指示を受け入れない」「年上の部下とどのように接したらいいのかわからない」など、部下との関わり方について悩まれている方も多いのではないでしょうか?
特に近年では、人事評価制度の見直しや、テレワーク(リモートワーク)などの新しい働き方の導入により、従来の上司と部下の関係性も変わりつつあります。部下との関わり方についても、これまでの当たり前を見直し、組織全体で問題点を改善していく姿勢が必要です。この記事では上司が「部下と良好な関係を構築するためのポイント」についてご紹介していきます。部下との関わり方に悩んだ際の参考にしていただければ幸いです。
部下と良好な関係を築くには?部下との接し方のポイント
部下との良好な関係づくりの重要性
まず始めに、部下との良好な関係を築くことで、上司と部下、ひいては企業全体にとって「どのようなメリットがあるのか」その重要性についてご紹介したいと思います。
部下のサポートやフォローがしやすくなる
部下と良好な関係を築き、部下のことを深く理解することで、今どのようなことで悩んでいるのか、どのようなサポートやフォローが必要なのかを把握しやすくなります。また、部下からも気軽に相談できるような信頼関係を構築できれば、業務上の問題点の早期発見や離職を防ぐことにも繋がります。
報・連・相を行いやすい環境が生まれる
報・連・相(報告・連絡・相談)は、ミスを未然に防いだり、問題を早期に解決することに繋がり、業務を円滑に進める上でとても重要です。部下とコミュニケーションを密に取ることで、業務の進捗状況などを含め、報・連・相を行いやすい環境が生まれます。また、自発的に報・連・相を行う習慣ができることで、部下の自立心を伸ばし成長を促します。
部下のモチベーションが上がる
部下との良好な関係性を保つことができれば、お互いに意見が言いやすくなり、部下の満足度やモチベーションの向上にも繋がります。また部下のモチベーションが上がることで、お互いの仕事効率が高まります。ひいては上司自身やチーム、企業全体の成果に繋がるという好循環を生み出します。
部下と良好な関係を構築するためのポイント
部下との良好な関係を構築するために、まずは上司である自分自身の接し方について改善することを意識しましょう。上司のコミュニケーションの取り方次第で、部下の行動や思考を方向づけることは可能です。具体的にどのような点に注意して部下と接したら良いのか、そのポイントについてご紹介していきます。
部下の話に耳を傾ける
どのような関係性であっても「相手の話を聞く」と言うのはコミュニケーションの一番の基本です。部下との信頼関係を築くために、自分の話ばかりをするのではなく、まずは部下の話をしっかりと聞く姿勢を見せましょう。何か困ったことはないか、進捗状況はどうかなど、自分から積極的に声をかけ、普段から部下が話しやすい雰囲気を作っておく配慮も大切です。部下が話しかけてきた際には、作業の片手間で聞くようなことはせず、いったん手を止めてきちんと部下に向き合いましょう。手が離せないタイミングであれば、その旨を説明し改めて話を聞く時間を設けましょう。また、できるだけ話の最中に口を挟まないように注意し、部下の意見を最後まで聞くように意識しましょう。
1on1ミーティング(1on1)を開く
前述のように、普段の業務の中でのコミュニケーションももちろん重要ですが、タイムリーかつスムーズに情報共有ができる仕組み作りも大切です。代表的なものに上司と部下で個人面談を行う「1on1ミーティング(1on1)」があります。できれば短時間でも良いので定期的に(1週間に1度程度) 1on1ミーティングの場を設けることをおすすめします。思わぬ失敗や問題が発生した際など、なかなか部下の方から声をかけにくい、という自体は業務の中でたびたび起こり得ます。1on1ミーティングのような仕組みを日々の業務スケジュールの中に定着させ、普段から意図的に話ができる環境を作ることで、情報共有やフィードバックを行う機会を増やすことができます。頻繁にミーティングの時間を作るのは難しいと考える方も多いかも知れませんが、トラブルやミスを早期に把握し予防することで、結果的に業務を効率化させることにも繋がります。 1on1ミーティングを行う際には、事前に話し合うべきことの要点や目的を絞ってから始めましょう。1on1ミーティングは、部下を管理するためではなく**「部下の成長を促すための場」です。まずは部下の話に耳を傾け、これから目指すべきキャリアや目標**を明確にした上で、そこにたどり着くための方法や課題を部下と共に考え共有していきましょう。
評価は客観的・論理的に行う
部下への評価は、客観的かつ論理的に行うことが重要です。評価基準が曖昧だったり不公平であったりと、納得感の得られない評価は上司への不信感へと繋がります。評価のフィードバックの際は上司自身の感情や先入観を含めず、達成した数値や業績、日々の行動など、客観的事実と照らし合わせ論理的に伝えましょう。 特にネガティブな評価の伝え方には注意が必要です。ネガティブな評価を伝える際には、具体的な事実や内容を提示し、それについてどのように判断し評価したのか、自主的な改善行動を促すためにも、その理由や根拠について具体的に説明するように心がけましょう。この説明を疎かにすると、上司に対する不信感に繋がる恐れがあります。また、部下を注意したり叱る必要がある場合は、他の社員の目やプライバシーに配慮した環境を設けることが望ましいでしょう。
目標・目的を明確にし共有する
あいまいな目標・目的設定では、各自がそれぞれの立場、解釈で考える方向に進んでしまいます。特に近年では、テレワーク(リモートワーク)などの新しい働き方や雇用制度の普及によって、一緒に働く人たちの環境や状況もますます多様化しています。目標や目的のすり合わせは都度行い、全員の認識にズレが生じてしまわないように心がけましょう ただし、組織や上司都合の目標を一方的に示すだけでは効果がありません。強制的な目標設定は、部下のモチベーションを下げることにもなりかねません。目標や目的を具体的に提示し、しっかりと共有することで、部下の行動や業務に取り組むことへのモチベーションを高めることが重要です。自分が行っている業務が**「どこにどのような影響をもたらし、組織にとってどのような利益に繋がっているのか」**を実感させることができれば、部下の自発的な行動を促すことができます。組織の一員であるという自覚を持たせ、組織全体で同じ方向を目指すことができるように、目標・目的の見える化、共有が必須です。
ネガティブな言葉や悪口は避ける
上司であっても、時には不満やストレスがたまり、ネガティブな言葉を吐き出しそうになることもあるかと思います。ただし組織で立場がある上司の言葉の影響力は、部下にとっては特に大きいものです。職場での不満やストレスは職場以外のところで発散することを心がけ、部下に対してはもちろん、誰に対してもネガティブな言葉遣いや悪口は避けましょう。さらに、部下の意識をポジティブな方向へ転じるような声がけができれば理想です。自分自身に対してもできるだけネガティブな発言は避け、失敗から学べることや、自身の行動によって得られる結果などを具体的に提示し、肯定的に物事を捉えられるようにサポートしましょう。
年上の部下との接し方について
部下の中でも、特に接し方に気をつけたいのが「年上の部下」に対してです。定年退職後の再雇用や経験者の中途採用、働き方の多様化やなどに伴って、今度ますます年上の部下を持つ可能性は高くなります。ここでは、年上の部下と接する際の注意点についてご紹介していきます。 今現在、実際に働いている中で「年上の部下に対して、どのように接していいかわからない」と戸惑っている上司も多いのではないでしょうか。とは言え、不適切な接し方や指示の出し方では業務は円滑に進みません。遠慮をし過ぎて指示があいまいになり意図が伝わらなかったり、逆に、自分が上司だからと言って、上から目線の偉そうな態度をとってしまうと相手のプライドを損ねかねません。 例えば指示を出す際は「〜をしないように」というような否定的な表現ではなく「〜だから〜してほしい」というような表現を心がけると効果的です。否定的な表現は、強制的な印象が強くなってしまいます。ただし「できれば〜してほしい」などのあいまいな言い回しや、「〜してもらえないでしょうか?」などの疑問形では、相手に意図が伝わらない可能性があります。また、納期などに関しては遠慮せず明確に伝えることが重要です。年上の部下と接する際は、役割的には自分が上司であり「指示を出す側の立場である」ということを前提にしつつも「相手は人生の先輩である」という敬意を忘れずに接することが大切です。
まとめ
部下と言っても、年下、年上、異職種の方まで、さまざまな方と仕事をする機会がますます増える昨今、部下との良好な関係性を築くためには、まずは上司自身の考え方や行動をアップデートしていく意識が重要です。日頃の部下とのコミュニケーションの中で信頼関係をしっかりと構築していきましょう。また、部下とのコミュニケーション能力や指導力を高めるために、研修会社などの外部サービスを利用した研修を受講するという方法もあります。部下の教育・成長は、企業全体の発展に繋がります。ぜひ、部下との関係性づくりについて学び直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
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