マネージャー候補を他社から引き抜くためにはまず彼らにアプローチしなければいけません。中にはリファラル採用のように、社員のツテを使ってマネージャー候補の方にアプローチできる企業もあるかもしれませんが、そもそも人手不足の企業では、その数にも限りがあります。
そのため、多くの場合は外部の人材サービスを使うことになります。
しかしながら、人材サービスと一口に言ってもその種類は幅広く、それぞれに特徴があります。
そこで、まずはその特徴を掴むところから始めるのが重要なポイントです。
転職サイトの代名詞と言われるマイナビ転職やリクナビNEXTなどが当てはまります。
自社の採用情報を各媒体に載せ、その媒体に登録している転職希望者が自社を志望する場合にマッチングが起こるという仕組みです。
マッチングの有無に限らず、掲載料としてコストがかかるので、少人数の採用よりは、ある程度まとまった人数を採用する場合に向いており、1人や2人のマネージャーを採用するという目的の場合、費用対効果があまりよくありません。
また、志望者のスクリーニングがされていない状態で採用選考をすることになるので、手間もある程度かかります。
また、企業側は受動的にならざるを得ないので、採用までにかなり時間がかかります。
リクルートエージェントやDODAなどが規模的に大きく有名です。
転職サイト同様、自社の採用情報を媒体に載せ、転職希望者も各媒体に登録します。その後、双方の条件を考慮した上で人材紹介エージェント側が相性の良い企業と転職希望者をマッチングしてくれるという仕組みです。
成功報酬型で年収の20~30%が手数料となるため、単価は高いですが少人数の採用との相性は良いです。
また、企業側の条件も踏まえた上でエージェントが候補者を紹介してくれるため、ある程度スクリーニングがされており、採用選考の手間も省けます。
また、人材紹介エージェント側がデータベースから積極的に候補者を探してくれるため、求人サイトより早くマネージャー候補にアプローチできるでしょう。
ビズリーチなどが当てはまります。
特徴は、転職者のデータベースに企業側からアクセスでき、企業側が直接オファーを出す点にあります。企業側はその媒体を使うための前金と契約成立時の成功報酬金を払います。ただ、前金は当然転職サイトより安く、成功報酬金も人材紹介エージェントよりずっと安いのが特徴です。
企業側がリーチできる層は希望にマッチしているので、転職サイトに比べればスピード感は持てるかもしれませんが、採用したい希望者を探す必要があるのでそれだけの時間確保が必要と言えるでしょう。
ヘッドハンティング会社としては、業界最大規模のレイノスやプロフェッショナルバンクなどが当てはまります。
このアプローチの特徴は、採用したい人材像を細かく伝えると、ヘッドハンティング会社があらゆるネットワークを駆使して、その人材にマッチする人をヘッドハンティングし、紹介してくれるという仕組みです。
この方法のメリットは、転職サイトや紹介エージェントに登録していない転職ニーズの低い人材にまでアプローチができるということです。着手金や成功報酬金は上記の3つの方法と比べ高い点がネックとなりますが、リーチできる層の質も高く、企業側の手間もほぼありません。
また、スピード感も持って採用ができる点がメリットといえるでしょう。
上記の4つをまとめると以下のようになります。
この他にも、雑誌やハローワークにおける求人などが挙げられますが、マネージャーの採用となるとあまり適していないでしょう。
上記のグラフを見るとヘッドハンティングが最も魅力的に見えます。
ただ、リソースが限られているベンチャーにとって、高額なヘッドハンティングは難しいかもしれません。そのため、現実的に最も適しているのは人材紹介かダイレクトリクルーティングとなるでしょう。
どちらが良いかは、採用にかけられる予算と人的リソースを考えて決めるのが適切でしょう。
いざダイレクトリクルーティングや人材紹介を経由してマネージャー候補の人にアプローチできたとしても、選考を受けてもらわないことには採用がスタートしません。アプローチを通して会社に興味を持ってもらい、選考を受けてもらうためには、候補者が転職に対して何を求めているかを把握し、候補者のウォンツを満たせることをアピールする必要があります。
企業に引き抜かれるマネージャーは、どのような経緯で転職を決意するのでしょうか?
大手でマネジメント経験のある人が、年収やその他の待遇が悪くなるのにも関わらず、中小企業へ飛び込むのには理由があります。
「ある程度ルーティーン化した日々の業務にやりがいを感じなくなっている」だとか、「上が詰まっているため、ポジションが上がらず思うように成長できない」など、人によって理由は異なりますが、現状を打破するためにベンチャーに行くという決断をすることが多いようです。
やりがいや成長を求めるマネージャー候補に選考を受けてもらうには、最初のアプローチで彼らのウォンツを刺激する必要があります。
そこで重要になってくるのが自社のWEBサイトを中心とした広報活動です。
というのも、比較的知名度の低い中小企業からアプローチを受けた段階では、マネージャーの候補は企業のことをあまり知らないでしょう。
このときにマネージャー候補は、情報収集するために必ずと言っていいほど企業のWEBサイトを参照します。
熱いビジョンや理念といったソフト面から、会社の成長率や今後の事業の展望といったハード面まで彼らに響くメッセージを打ち出す必要があります。
また、候補者が仕事内容を具体的にイメージできるように、社長の想いや社員が感じているやりがいや面白みなど、生の声を届けるコーナーを作ることもおすすめです。
予算が限られた企業がマネージャーを採用するにあたり、まずは外部の人材サービスを利用するのがオーソドックスな方法です。その際、マネージャーが求めるやりがいや成長が手に入ることを、ビジョンや会社の成長率を用いてアピールすることが大切です。そうすることで、候補者は会社に働く場としての興味を持ちます。そのことが、後に選考を受けるプロセスへとつながっていきます。成長中のミドルベンチャーにとって、一人の優秀なマネージャーが入っただけでもその後の成長スピードは格段に変わっていきます。「中小企業が優秀なマネージャーを引き抜くのは難しい」と思われがちですが、限られたリソースを最大限に活用すれば、実現は十分に可能です。次回は、選考ルートに乗ったマネージャーを採用するまでの情報を「~口説き方~」としてお伝えします。