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マインドセットとは?人材育成における重要性や教育手法を徹底解説

マインドセットとは?人材育成における重要性や教育手法を徹底解説

持続的な成長を目指す企業には、何事にも向上心を持ってチャレンジし、自ら学び続けるような人材が必要です。しかし、単に必要な知識・スキルを詰め込むだけでは、ビジネス環境の変化に対応できる人材は育ちません。効率的に人材育成を進めるには、土台となる「マインドセット」に目を向ける必要があります。今回はマインドセットが求められる背景や重要性、具体的な研修方法を紹介します。

この記事のまとめ

  • マインドセットとは思考パターンや物事の見方を表し、これまでの教育や経験、生まれ持った性格などから形成される。
  • 研修で学んだことを成長や成果に繋げられるかどうかは、本人のマインドセットに左右される。
  • マインドセットの変革には「自己評価」を促す能動的学習を取り入れた階層別研修やテーマ別研修が効果的である。
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マインドセットとは?求められる背景

マインドセットとは、思考パターンや物事の見方を表す用語です。分かりやすい例としては、信念や価値観、判断基準、心構え、先入観などがあります。マインドセットはこれまでの教育や経験、生まれ持った性格などから形成されるため、一人ひとりの従業員によって異なります。例えば「自分のスキルはもう伸びない」と考えている場合は、いくら研修をしてもその先入観がブロックとなって、大きな成果や成長を生み出すことが妨げられている場合があります。

マインドセットの構成要素

マインドセットは以下のような要素で構成されています。

  • 経験:自己効力感を高める成功体験や、苦手意識につながる失敗経験。
  • 先入観:生まれ育った環境で形成される、差別や偏見にもつながる思い込み。
  • 価値観・信念:一人ひとりの行動に影響する、物事を判断するための基準。
  • 暗黙の了解:当事者間や所属する集団に存在するルールや考え方。

このように、マインドセットにはその会社に入る前の経験やライフスタイルも含まれます。ビジネスシーンに適したマインドセットを習得するためには、まずは本人が自分自身のマインドセットの傾向に気づく必要があると言えます。

マインドセットが注目される理由

現代のビジネス環境は不確実性が高く、将来の予測も難しい「VUCAの時代」に突入したといわれています。このような状況で企業が成長するには、自ら考えて行動し、変化に適応できる人材が必要です。

実際に多くの企業が研修を行っていますが、その効果は社員のマインドセットに左右されます。マインドセットがどのように影響を与えているのか、以下で分かりやすい例を紹介しましょう。

マインドセットと行動の例

上記のように、研修後の行動はマインドセットによって変わります。消極的なマインドセットを持っている社員は、新たなチャレンジや変化を拒む傾向があるため、知識付与型の研修だけでは大きな効果が望めません。社員一人ひとりの能力を伸ばすには、先にマインドセットを変える「きっかけ」を与えることが重要なのです。

マインドセットの具体例

マインドセットには様々な種類がありますが、ここではスタンフォード大学の心理学者キャロル・ドゥエック氏が提唱した「成長型」と「硬直型」の2つの例をご紹介します。誰もがこの両方のマインドセットを持ち合わせていると言われていますが、ビジネス環境の変化に適応できる人材を育てるには、「成長型」を発揮できるように働きかけることが重要です。

成長マインドセット

成長マインドセット(成長型)とは「自分の努力次第で能力は伸ばせる」という考え方です。「しなやかマインドセット」や「グロースマインドセット」とも呼ばれており、この思考形式を備えている人材は、向上心が強く積極的にチャレンジする傾向があります。また、ビジネスに対する忍耐力があるため、チャレンジに失敗しても挫折することなく、新たな知識やスキルを学び続けます。その過程で目標達成のために自ら考える力やトラブルへの対応力も自然と鍛えられるでしょう。前述の例では「営業力は努力次第で伸ばせる」という考え方が、成長マインドセットにあたります。

硬直マインドセット

硬直マインドセット(硬直型)は「自分の能力は生まれつきであり、努力では変わらない」という考え方です。「フィックストマインドセット」とも呼ばれており、得意なスキルに固執する、すぐに努力することを諦めるなどの傾向があります。そのほか、他人からの評価を気にしすぎたり、挫折から目をそらしたりする点も硬直マインドセットの特徴です。失敗への抵抗感が強いため、チャレンジや成長の機会を積極的につかむことができません。

成長マインドセットと硬直マインドセットの違い

このように、マインドセットの違いはさまざまなビジネスシーンの場面で表れていることが分かります。研修後の行動はもちろん、ビジネスの成果や生産性にも関わるため、企業側は入社早期に成長マインドセットを促すことが重要です。

役職・役割で必要なマインドセットは変わる

上記では2つのマインドセットを紹介しましたが、役職や役割によっても求められる考え方は変わります。以下では「新入社員」「中堅社員」「リーダー」に分けて、それぞれに求められるマインドセットを紹介します。

新入社員は成長マインドセットを意識する

新入社員はこれから多くの知識・スキルを学ぶ必要があり、さまざまな失敗や困難に直面する立場です。また、慣れない職場環境やコミュニケーションへの不安を抱えやすいため、委縮せずにチャレンジできる成長マインドセットを育てることが大切です。

営業力やビジネスマナーの研修も必要ですが、単純な知識付与型の研修は「知っている」「もうできている」と感じやすく、マインドセット変革のきっかけになる自己評価にはつながりません。自身のマインドセットがどのようなものなのかを自覚できるように、研修ではアウトプットの機会を増やすといった工夫が必要になります。

したがってビジネスマナーや基礎的な業務知識を学ぶ研修とは分ける形で、最初に成長マインドセット研修を実施することをおすすめいたします。

中堅社員はキャリア自律に向けた主体性のマインドセットを意識する

中堅社員はすでに基礎的な知識・スキルを習得しており、会社の戦力になる人材です。しかし、同じような業務を担当していると次第にマンネリ化し、積極性を失ってしまうことがあります。

このような中堅社員には、キャリア自律に向けた主体性のマインドセットを促進するようにしましょう。例えば、リーダー職に向けたスキルアップを支援したり、より高い目標を実現するための研修を行ったりすると、新たな刺激になる可能性があります。

リーダーは部下育成に対する責任マインドセットを意識する

リーダー職はチームを動かすのに加えて、新入社員などの育成にも取り組む立場です。リーダーの言動によって、組織の雰囲気も変わるような影響力や裁量が与えられています。

例えば、ミスの責任を部下に押し付けたり、自らの意見を押し通したりすると、組織全体の士気が低下してしまいます。従って、利益につながる結果や成果を追い求めるだけではなく、部下の仕事ぶりをよく見てそのプロセスを承認したり、改善のアドバイスを行いながら部下育成に責任を持って取り組むマインドセットが必要です。

マインドセット研修の方法

それでは社員のマインドセットを育てるには、どのような教育施策や研修を行えばよいのでしょうか。以下では3つのステップに分けて、具体的な研修の企画・設計方法について解説します。

求めるマインドセットを明確にする

必要なマインドセットは企業によって変わります。「どのような人材なら目標を達成できるのか」を意識しながら、そのために根付かせたいマインドセットを定義していきます。

マインドセットの定義が難しい場合は、以下のような方法を活用してみてください。

MUST・WANT・BETTER・NEGATIVE

候補となるマインドセットを「MUST(必須で求める)」「WANT(持っていてほしい)」「BETTER(あるとなお良し)」「NEGATIVE(不要)」に分ける方法です。様々なマインドセットの中で重要性が高いものを整理することで、優先すべきマインドセットが明確になります。

コンピテンシーモデル

自社でパフォーマンスが高い従業員にヒアリングし、理想の人材モデルを確立する方法です。優秀な従業員の共通点を探すと、自社に必要なマインドセットが分かりやすくなります。

研修のタイミングを決める

マインドセット研修の効果は、実施時期によっても変わります。学んだ内容を実務に活かすことが重要なので、環境が変わるタイミングでの実施が望ましいでしょう。具体的な時期としては、入社直後、昇進や海外赴任の前などが挙げられます。このようなタイミングで実施すると、習得したマインドセットで実務をこなせるため、新たな環境に馴染みやすくなります。

能動的学習を軸に研修内容を考える

研修内容については、「能動的学習」を軸に考える必要があります。マインドセットの変革は従業員本人にしかできません。企業の役割は、自己評価の機会やきっかけを与えることなので、以下のような研修内容が効果的です。

マインドセット変革につながる研修の例

  • 新入社員に向けて体感型ワークを導入する
  • 自社が抱えている課題でディスカッションを行う
  • 学んだ知識を現場で実践させる(OJT研修)
  • 自分自身の成長や願望を明確にしプレゼンテーションする

このように自己評価やアウトプットの機会を増やすと、「できていないこと」や「不足している知識・スキル」に自分で気づくことができるため、「変わりたい」というきっかけが生まれ、明確な行動変容・行動定着に繋げやすくなります。

マインドセットの変革には"本人の気づき"が必要

ビジネスに対する心構え、つまりマインドセットは簡単に変わるものではありません。知識を詰め込むだけの受動的な研修や、フォローがない単発の研修では、従業員のマインドセットまで変えることは難しいでしょう。

マインドセットの変革を実現するためには、自己評価を通して従業員本人が気づきを得て「変わりたい」「学びたい」と思えるような仕組みが必要です。自らの願望がモチベーションになれば、一人ひとりが主体的にどう行動すべきなのかを考え、最善の選択をするような社風が形成されていきます。

自己評価を促す能動的学習にもさまざまな方法があります。各企業の現状や課題に合わせたカリキュラムが必要になるため、自社に最適な方法を決められない場合は、専門家を頼るのも一つの手です。

研修を成功に導くエッセンスとは?

アチーブメントHRソリューションズは社員研修で悩む企業様に向けて、専用資料の「研修を成功に導くエッセンスとは?〜マインドセットが変われば、行動が変わる~」を配布しています。本資料では、行動の根源とされるマインドセットの重要性や、社員研修を成果に繋げるのポイントを分かりやすくまとめました。

本資料で学べる内容

  • 社員研修の目的やゴール
  • 社員研修が成果につながらない理由
  • マインドセットへのアプローチの重要性
  • 社員のマインドセットを変革する方法
  • 若手社員向けの研修導入事例 など

本資料はフォームに情報を入力すると(1分)、Web上から閲覧できます。

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また、アチーブメントHRソリューションズでは1社1社の課題に合わせて、研修プログラムをカスタマイズで設計しています。マインドセット変革に必要な「自己評価」「能動的学習」をベースに階層別研修、テーマ別研修についても担当コンサルタントがアドバイスいたします。

無料の体験セミナーも開催しておりますので、実際に研修コンテンツを体感してみたい方は以下からお申込ください。

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まとめ

今回の記事では、社員研修の効果を高めるには、先に土台となるマインドセットを身につけることが重要であることをお伝えいたしました。マインドセット研修で“在り方”を学び、その後に具体的な知識やスキルを習得するというステップを踏むことによって、確実に現場での実践につながります。

自社が求める人材像に必要なマインドセットを備えた社員が増え、勤務態度やサービスの質が向上することで、顧客満足度も高まります。今後も持続的な成長を遂げ、社会的価値の高い企業を目指すためには、社員のマインドセットにフォーカスした研修を企画・設計していくことが大切です。