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エンパワーメントとは?その意味と、研究者が見つけた4つの要素

エンパワーメントとは?その意味と、研究者が見つけた4つの要素

エンパワーメントとは、個人や組織が自らの生活や行動をコントロールしていることを感じることができ、組織や社会に対して影響力を持っている状態を作ることです。また、HR業界では「能力開花」や「権限移譲」とも訳されています。今回は、そのエンパワーメントの意味と効果、エンパワーメントに必要な要素、企業の実践例をご紹介します。

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エンパワーメントとは

エンパワーメントは、先ほども述べたように、個人や組織が自らの生活や行動をコントロールできていると感じられ、組織や社会に対して影響力を持つ状態を作り上げることを表します。このエンパワーメントという言葉は、「力を授ける、与える」という意味を表す「エンパワー(Empower)」に由来しています。

エンパワーメントの始まり

エンパワーメントという言葉の始まりには、ブラジルの教育思想家であるパウロ・フレイレが大きく関与しています。パウロ・フレイレは、名著「被抑圧者の教育学」の著者であり、この本では、自身の行動や行動の意味、その行動の背景にあるものを自身に問うことで、「なぜそうなったのか?」という視点から世界を批判的に見る方法を「意識化」として紹介しています。この意識化によって自らの境遇を乗り越え、自らの生活と暮らしを変えていく『力を人々に与える』という彼の教育思想に、いつしか「エンパワーメント」という言葉が結び付けられるようになりました。

エンパワーメントの発展

その後、エンパワーメントの概念に含まれる「人が潜在的な能力を発揮できる、公平な社会の実現を目指す」という点が市民運動や女性運動、先住民運動と結びつき、実践されていきました。

また、保健医療福祉や教育、ビジネスの中では、「誰もが素晴らしい能力を持って生まれ、生涯にわたってその能力を発揮し続けることができる」という前提が加わり、「人の持っている潜在的な能力を引き出す」という意味が込められるようになりました。

エンパワーメント効果

そんなエンパワーメントを取り入れることによって得られる効果としては、「主体性の向上」「イノベーションの推進」「人間関係の改善」が挙げられます。では、それぞれについて詳しく解説していきます。

主体性の向上

エンパワーメントを推進することで、従業員はただただマニュアルに従うのではなく、自分で考えようという意識が生まれます。自分で考えて選んだ選択に対しては、当然責任が生まれますので、結果としては責任感の増進にも繋がります。「自分で考え、自分で選択したからには、自分で責任を取るんだ」という一連の思考によって従業員の主体性は向上していきます。

イノベーションの推進

イノベーションとは、新しい切り口や新しい捉え方、新しい活用法の創造を指します。エンパワーメントを推進することで、従業員それぞれが思考を巡らせ、自身の考えをしっかりと持つことで、それまで以上に多様なアイデアや観点を共有できるようになります。

人間関係の改善

先にも述べたように、エンパワーメントには「誰もが素晴らしい能力を持っていて、その能力を発揮し続けられる」という前提を大切にしています。つまり、相手の欠点よりも相手の長所や得意なことにフォーカスした人間関係の構築ができるようになります。お互いの長所を活かしてお互いの短所をカバーしようという関わりは、個人にも組織にも肯定的な影響を及ぼします。

エンパワーメントに必要な4つの要素

では、実際にエンパワーメントを推進するためには、何が必要になるでしょうか?そんな問いに対して、研究を重ねた結果、4つの要素が必要であると突き止めた研究者がいます。それがトーマス&ベルソースの二人組です。この二人が研究したのは、単なる権限移譲に関してではなく、「人が自ら考え行動する」というエンパワーメントの根幹についてでした。そのエンパワーメントの根幹となる概念を「内発的動機付け」という言葉に置き換え、その内発的動機付けに必要な要素について調べた結果、4つの要素が必要だと分かりました。それが「Impact(効果)」「Competence(自己効力感)」「Meaningfulness(有意味性)」「Choice(選択)」です。では、それぞれについて詳しく見ていきます。

Impact・効果

Impact(効果)とは、その仕事を達成することによって、自分にどのような効果・影響がもたらされるかを表しています。具体的に言うと、社会から受ける承認や金銭の報酬など、自身に帰ってくる見返りのことです。自身に与えられた仕事にImpactを見出すこといよって、内発的動機付けは高まります。

Competence・自己効力感

Competence(自己効力感)とは、人が何かの成果を求められたときに、その成果に対して適切な行動を予想することができ、かつ実際に行動を取ることができることへの確信を持つことです。この自己効力感をどのくらい持っているかが、自分から行動するか否かに大きな影響を及ぼします。

Meaningfulness・有意味性

Meaningfulness(有意味性)とは、個人的な観点や判断軸から見て、「自身に課されたタスクの目標や目的を達成することに価値がある」と、どのくらい思えているかを表しています。目的や目標の達成に価値があると強く思えれば思えるほど、行動への動機が生まれます。ここでいう価値とは、「Impact」のような利己的な価値ではなく、会社や社会の役に立つと言った利他的な価値を指しています。

Choice・選択

Choice(選択)とは、自分の思考や行動が自己決定によるものだと、どれほど認識できているかを表します。行動を選択する自由があったと思えれば思えるほど、行動に対する納得感と行動に移すモチベーションが生まれます。

この4つの要素が高いレベルで認識できていればできているほど、内発的動機付け、つまりエンパワーメントが推進されやすくなると言われています。

エンパワーメントの実践事例

では最後に、エンパワーメントを実際に取り入れて実践している企業の事例をご紹介します。

ザ・リッツ・カールトンの事例

マリオネット・インターナショナルが世界規模でチェーン展開しているホテルブランドのザ・リッツ・カールトンでは、社員一人ひとりに対して、一日に2000ドルの決裁権を与えています。1ドル100円計算だとすると、日本円で一日20万円にも及ぶ額です。従業員にこれほどの決裁権を与えている理由は、ザ・リッツ・カールトンが目指す「感動を超えるサービス」を提供するために、何かある度に上司の判断を仰いでいてはお客様を待たせてしまうからというのが一つと、もう一つは単純に従業員への信頼が強いからです。この一人一人に与えられる大きな決裁権こそが信頼の証であり、従業員へのエンパワーメントとなっています。

スターバックスジャパンの事例

アルバイトの従業員が感動的なサービスを提供する話がいくつも挙げられるスターバックスでは、アルバイトに合格すると最初の一週間は店の奥でひたすらトレーニングを受け、計80時間にも及ぶ教育を2か月かけて受けると言われています。

そんなスターバックスでは、接客に関するマニュアルは一切なく、教えられることはたったの一言だけだと言われています。それがこちらの言葉です。

『お客様が何をしてほしいかを考えてサービスしよう』

スターバックスでは、お客様が望んでいることを一人一人の従業員が考え、最善と思えるサービスを日々実践しています。「自分で考え、自分で選択し、自分で責任を取る」というエンパワーメントの概念が浸透した働き方がスターバックスでは実践されているのです。

まとめ

エンパワーメントを実践することで、従業員の主体性が高まり、新たなアイデアが生まれ、それらによってザ・リッツ・カールトンやスターバックスで生み出されるような感動的なサービスが生まれます。ただ、この2社のようなサービスをするためには、従業員が求める働き方や企業の方針に共感していることがポイントとなります。ザ・リッツ・カールトンもスターバックスジャパンも企業理念がしっかりと浸透した企業として有名であり、その理念浸透があるからこそ、従業員の「Meaningfulness(有意味性)」が一致しています。もしこれから企業でエンパワーメントを実践するならば、従業員の「Meaningfulness(有意味性)」が一致しているかどうかを、いま一度確認することが重要かもしれません。

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