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エクソンモービルのコンフリクトマネジメント事例

エクソンモービルのコンフリクトマネジメント事例

世界最大の石油・ガス会社であるエクソンモービルのグローバル組織効果(OE)コンサルタントのSheryl Roy氏とグローバルな人材育成会社であるPSP代表Michael Patterson氏がATD2018で語ったエクソンモービルのコンフリクトマネジメント事例についてレポートします。

エクソンモービル社はアメリカのテキサス州に本社を置き、民間石油企業としては最大規模の従業員7万5千人、世界200か国以上で事業を展開する多国籍企業です。

今回のセッションでは「チームインテリジェンス(学習技術)の技術を活用する:ケーススタディ」と題して、大規模な多国籍企業であるのエクソンモービル社のトレーニングチームがチームインテリジェンス(学習技術)を使用して、組織の戦略を末端の社員にまで落とし込み、チーム形成を加速してパフォーマンスを最大化し、誤ったコミュニケーションとコンフリクト(衝突)を減らす方法を、ケーススタディを交えて紹介してくれました。

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戦略の実行では相互理解・相互信頼が重要

セッションの冒頭、エクソンモービル社のSheryl Roy氏はこれからの時代に求められるリーダー像について下記のように語りました。 「スピード感が益々加速し、プロジェクトが複雑化しているビジネス現場において、リーダーの役割はチームメンバー間の関係構築の時間を早め、衝突を最小限に抑えてチームパフォーマンスを最大にすることです」。ダイバーシティに富むエクソンモービル社ではパフォーマンスを最大化するための重要なポイントについてSheryl Roy氏は下記のように語っています。

  1. チーム内の安全性を担保し、個人が取り組む上で障害となる危機感を下げ、動機づけをいかに行うか
  2. 個々人の強みとモチベーションを相互理解し、相互信頼の関係性を構築することが重要

個々人の認識の違いを理解するために、「地面に「6」という数字が書いてあるが、視点を変えて逆から見れば「9」という数字にも見えてくる」という【6-9の会話】というたとえ話が紹介されました。

このたとえ話を引用しながら、「人は立場や強み、モチベーションなどが違えば同じものを見ているにも関わらず見え方が変わるということを理解することが重要である」とSheryl Roy氏は語りました。

また、個々人の強みとモチベーションの関係性を、「強み」を海の上に浮かぶブイ、「モチベーション」を海の下に沈んでいる錨に例え、「強みは発揮行動として目に見えるが、モチベーションは目に見ない。しかし、錨の様にずっしりと揺るぎないものとして存在している。それぞれのモチベーションの違いを理解し、お互いの強みを信頼すること」とSheryl Roy氏は主張していました。

強みを活用してコンフリクトを意味のあるものにする

セッション途中に、エクソンモービル社のコンサルティングを担当したMichael Patterson氏も加わり、エクソンモービル社の事例と紐づけながら紹介が続きました。

Michael Patterson氏はPSP社で開発された【Core Cloud】で分析した強みの3分類を活用して非生産的な衝突を避け、建設的な議論が行われる道筋を示してくれました。Michael Patterson氏は強みのを下記の3つに分類しています。

赤:自己主張が強い。自分の意見を通したいと考え、結果を出すことがモチベーション 青:人間関係重視。周囲との調和や協力を考え、他人を助けることがモチベーション 緑:分析思考型。より多くの情報が必要と考え、順序を設計して実行することがモチベーション

「人はどれか一つの強みのみを持つのではなく、強みがブレンドされたり、状況によって強み自体がシフトすることがこれまでの研究でわかっている」とSheryl Roy氏とMichael Patterson氏は語っていました。

この強みに関する情報がわかると、相手は衝突が起こったときにどのような行動を取るのかが予め明示されるため、「お互いにそれぞれの強みを理解し合い、衝突が起こったときの状況が事前に何はして(言って)よくて、何はしない(言わない)方がよいのかが想定されるので、お互いへの配慮が生まれ、非生産的な衝突を回避することができている」とSheryl Roy氏はケースを紹介をしてくれました。

個人の強みをチームパフォーマンスの向上にも活用する

「個人の強みからくる行動特性、思考特性がデータベース上に記録され、各プロジェクト単位でチーム編成を行うときの、チームパフォーマンス力のポテンシャルとして事前に分析することを可能としている」とMichael Patterson氏は語ります。

チームパフォーマンスのポテンシャルを事前に分析することで、プロジェクトゴールから逆算したときにチームを補う強みを持ったスタッフとの再編成やチームの現状認識を行うことで衝突を回避したり、個人の強みが過度に出過ぎてチームに悪影響を与えるときに話し合いによってチームが乗り越えることを手助けする指標とすることができるのです。

このようなメリットを享受するためには、個人の強みを開発して発揮するプロフェッショナルになることが必要です。強みを開発する上で鍵となる3つの質問をMichael Patterson氏は紹介していました。

  1. How do we scale it?:個人の強みを活かしたチームをどのように構築するのか?
  2. How do we sustain it?:個人の強みを活かしたチームをどのように維持するのか?
  3. How do we measure it?:個人の強みを活かしたチームをどのように検証するのか?

「この問いに答えながらチームづくりをすることがポイントである」という言葉で、セッションは終了した。

まとめ

ハイパフォーマンスチームをつくる条件として、4つの観点をまとめとしてMichael Patterson氏は紹介していました。

  1. 自分の強みを知ること、チームメンバーに知ってもらうこと
  2. チームの状態(強み、弱みの傾向)を理解すること
  3. 常によいチームをつくるためのフラットな話し合いができること
  4. チームづくりを促進するためにリアルタイムでチームの状況を把握できるインフラを整えること

今回のセッションで語られたように、チームをつくる上でコンフリクトは避けられないものである。ただ、コンフリクトの質は高めることができ、相互理解・相互信頼がないために起こる非生産的なコンフリクトは回避することができ、メンバーが共通認識となるフレームを共有しているかで建設的な議論に早い段階で移行しハイパフォーマンスチームをつくるポイントになるのではないだろうか。ということです。

現在、あなたのチームで行われているコンフリクトは、それぞれの主張を通すための非生産的なものでしょうか?相互理解・相互信頼が基盤となり解決策を導き出すためのものなのでしょうか?いま一度、見定めてはいかがでしょうか。

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