新卒採用を行うときは、採用コンセプトを設定すると求職者に自社の特徴や考え方が伝わりやすくなります。しかし、社内にノウハウがない場合は、どのように作成すればいいか分からず困ってしまうでしょう。この記事では、採用コンセプトとは何なのか、そして採用コンセプトの作り方を解説していきます。また、採用コンセプト事例も紹介するのでぜひ参考にしてください。
新卒採用で重要な「コンセプト」とは?作り方まで解説
新卒採用で重要なコンセプトとは
採用コンセプトとは、「採用活動全体を貫く指針」のことです。採用コンセプトを軸にしてメッセージに一貫性を持たせると、自社がどのような会社なのかが求職者に伝わりやすくなります。採用活動においては、一貫性が大切です。企業のWebサイト上でのファーストインプレッションから説明会、面接の数ステップにおいて、イメージがバラバラではいけません。また、社外に対するイメージと社内に対するイメージが異なっているのもNGです。イメージに統一感がないことは企業の信頼性を損ね、自社がどういう企業であるかをわかりにくくします。
コンセプトを設定する重要性とは
新卒採用においては、コンセプトが採用チームの指針となります。指針があると就活生に対して一貫性がある対応や発信がしやすくなり、社内における求職者へ求める条件の統一にもつながります。新卒採用においては、自社のWebサイトやパンフレットなどさまざまなメディアに情報を掲載することになります。その際、統一されたメッセージを文章やポスター、動画で伝えるために基準となるコンセプトが重要です。
新卒採用のコンセプトの作り方を解説
続いては、新卒採用のコンセプトをどのように作ればいいのか解説します。新卒採用のコンセプトを決めるためには、自社の情報をまとめる作業から自社の魅力を深堀りし、今後どのような人材が会社に必要になるか考えてみましょう。このとき、採用チームで情報を統一させることが大切です。
新卒採用のターゲットを明確にする
新卒採用を成功させるためには、ターゲットを明確にすることが大切です。そしてターゲットを決めるときには、「削ぎ落とし」と「具体化」がポイントになります。それぞれの内容について順番に解説します。
ターゲットの具体化とは
ターゲットの具体化とは、どのような人物像を獲得したいのかをはっきりとさせることです。性格や行動パターンなどで具体化していく必要があります。この点についても、採用コンセプトで決めた内容が出発点となります。自社の強みや将来的な展望についても分析し、それを叶えるために必要な人材がどういうタイプなのかを絞り込みましょう。
ターゲット特性を考えるときに陥りがちなのが、「明るい性格の人がほしい」といった漠然とした分析にとどまってしまうこと。ただ「明るい」だけでは「よくしゃべる」ということなのか、「いつも笑顔」ということなのか、はっきりしません。この状態では、採用チーム内での意識統一も難しいでしょう。たとえば「営業部の高橋さんのように、いつも前向きに難題にチャレンジできる人が、私たちの会社のイメージに合っている」といった具合に、採用チーム内できちんと共有できる具体化を行うことが大切です。
ターゲットの削ぎ落としとは
この場合の削ぎ落としとは、ターゲットについて具体的なイメージを膨らませたあとに要素に対して優先順位を付けていき、優先順位の下位項目については削ぎ落とすことを指します。こうすることで、ターゲットがより明確になります。ターゲットについて具体化していくときは、その特性をどんどんリストアップしていきます。しかし、あまりにイメージが多くなると実現が難しくなったり、採用チーム内での認識にブレが生じたりするので必要に応じて削ぎ落としを行うと効果的です。
自社の強み・特徴をリストアップする
採用コンセプトを考える上で大切なのは、何が自社オリジナルの強みであり、競合他社と差別化できる点なのかを知ることです。同一の業種で複数の企業を受けようと考える就活生にとって、差別化されていなければ記憶にも残らないかもしれません。反対に、自社の魅力や他社との違いがはっきりと打ち出されたWebサイトやパンフレットを目にすれば、魅力が伝えやすくなるでしょう。自社の強みや特徴をリストアップする方法として、「3C分析」を行ってみるのもおすすめです。必要に応じてフレームワークを活用しながら、自社ならではの魅力を引き出してみてください。
3C分析とは?・Customer(市場や顧客):市場や顧客のニーズをつかむ・Competitor(競合他社):競合他社が市場のニーズにどうやって対応しているかを把握する・Company(自社):市場や顧客、競合他社にどう向き合っていくかを見出す
採用ツールやフローに活かす
採用ターゲットを分析し、自社の強みもリストアップできたら、それを採用コンセプトに落とし込んでいきましょう。スローガンやメッセージとして形にしていく作業です。新卒採用ページやパンフレットなどに掲載するため、短い言葉でキャッチコピーのように作ってください。端的に自社の魅力を伝えられれば、多くの情報を集める就活生にとっても印象に残る会社の1つになります。メッセージの核心を捉えつつ、分かりやすく心に響くキャッチコピーを作るのは難しいためプロに依頼するのもいいでしょう。自社で考えるよりも費用はかかりますが、豊富な知識やノウハウをもとに対応してもらえます。
【実例】さまざまな会社の新卒採用のコンセプトを紹介
採用コンセプトの重要性や作り方についてお伝えしてきましたが、自社でコンセプトを1から作成するのが難しい状況も考えられます。この章では、さまざまな会社の新卒採用コンセプトを紹介します。ただし、そのまま真似をして使用してはいけません。そもそも他社と異なる独自性をアピールする目的があるのに、同じメッセージを使っては元も子もありませんので。
アチーブメント株式会社
「最高峰へ、共に。」(※)
教育で社会を変えることを志としているアチーブメント株式会社は、そのためにチームとして共に妥協せずに高みを目指していける仲間を求めています。そのことをキャッチコピーとして表しているのが、この採用コンセプトです。リクルートサイト内での社員紹介でも、各人が考える仕事上の「最高峰」が何であるかを語っています。
- 「クオリティカンパニー認定される会社を100社輩出したい」
- 「世界最高峰の人材教育コンサルティング企業をつくりあげる」
といったように、企業のコンセプトを社員が納得し、自分自身の中に落とし込むことができるようにしています。
東京海上日動火災保険株式会社
「一緒なら、世界は変えられる。」(※)
※引用元:tokiomarine-nichido-recruiting-2022|東京海上日動
140年の歴史を持つ、東京海上日動火災保険株式会社。創業当時から現在に至るまで、常に「損害保険」という役割を持って新たな挑戦をする人たちを応援してきた会社です。「挑戦」、「革新」、「一緒ならできる」といった言葉をキーワードに、求職者へのメッセージを展開しています。「一緒に」というキーワードを軸として、東京海上日動が共に仕事をしている会社の他社社員と自社社員との対談を掲載するなど、工夫の凝らされた採用サイトを作っています。
株式会社キーエンス
「その夢中が、鍵だ。」(※)
※引用元:新卒採用 | 株式会社キーエンス
総合電機メーカーとして、主にセンサーや測定器などを開発しているキーエンス。まだ世の中にないものを商品開発し、高いコンサルティングセールス力で商品に付加価値を提案しています。そのキーエンスの企業理念は「最小の資本と人で、最大の付加価値をあげる」こと。企業理念にも含まれている「最大の付加価値=『超』付加価値」を生み出す源泉が社員1人1人の「夢中」によるものであるということと社名を引っ掛けて、キャッチコピーが作られています。
ソフトバンクグループ株式会社
「CREATE THE NEXT ERA」(※)
直訳すると、「次なる時代を創る」という意味の採用コンセプトを打ち出しているソフトバンクグループ。「情報革命で人々を幸せに」という経営理念のもと、世界の人々が最も必要とするテクノロジーやサービスを提供する企業グループとなることを目指しています。採用においては、「Smart」「Professionalism」「Relation」を3つの軸として、挑戦し続け未来への貢献を考えるメンバーを募集。3つの軸のそれぞれの意味は、Smartが「前例のない課題に数字と根拠をもってアプローチできる論理的思考力」、Professionalismが「各分野における高水準な専門性」、Relationは「世界トップクラスの企業とビジネスができるコミュニケーション能力」を意味しています。ソフトバンクグループの取り組み1つ1つ、すべてが新しい時代を創り出すチャレンジであるとして、採用コンセプトが立てられています。
伊藤忠商事株式会社
「アオい情熱を待っている」(※)
※引用元:ITOCHU RECRUITING
5大商社の1つである伊藤忠商事は「業界の先駆者として。」を経営に込める思いとして歩んできた会社です。「商人魂」を原点に据えながら、新しい価値を創り出すことに挑戦し続けています。新しい価値を生み出そうとする姿勢は社員に対しても表れており、「朝型勤務」や「脱スーツ・デー」等の施策で社員を支えています。知識や経験、AIやロボットではなく、純粋に何かへとチャレンジする気持ちを持った「アオい」情熱を持った人が求められている会社です。
株式会社ビズリーチ(VISIONAL)
「想像もできない未来のほうが、きっと楽しい。」(※)
※引用元:ビジネス|新卒採用|Visional
2020年2月にVISIONALと名前を変え、グループ経営体制へと移行した旧ビズリーチ株式会社。「新しい可能性を、次々と。」というグループミッションのもと、産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するべく、さまざまな事業を展開しています。これまでも、これからもインターネットの力でさまざまな課題を解決していこうとしているVISIONALは、新しい可能性に向かってチャレンジしていける人材を求めています。そのことが表されている採用コンセプトです。
まとめ
新卒採用のコンセプトを設定すると、就活生に対して自社の考え方などが伝わりやすくなります。さらに、採用チームの指針にもなるので大切です。まずは自社ならではの特徴をリストアップし、競合他社との違いも並べ挙げた上で、採用したい人材に向けたキャッチコピーを考えてみましょう。なかなか思いつかない場合は、この記事でも挙げたような他社のコンセプトを参考にする方法もあります。
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